Chapter 1
時計製造会社が時間の本質について思いを巡らせるのは、ごく自然な ことでしょう。時間というのは、とても個人的なものであり、たとえそれ がほんの一瞬であっても「忘れがたい出来事」という形で具現化され、人生の一部となります。ブランパンの時計は、そんな流れゆく時の中を 歩む、人生の旅に寄り添うパートナーのような存在です。
1735年、スイスのジュラ山脈の片隅にひっそりとたたずむ小さな村ヴ ィルレで、教師を務めるかたわら農業を営んでいたジャン=ジャック・ブランパンは、雪に覆われ農作業ができない冬の間、時計の制作に打 ち込み、時計職人としての道を進み始めました。この新たな挑戦からス タートしたブランパンは世界最古の時計ブランドとしての優位性を確 固たるものとし、ブランパン家の7世代、フィスター家の2世代、ピゲ家 の3世代、そして現CEOであるマーク A. ハイエックの指揮の下で20 年以上にわたり、豊かな歴史を紡いできました。
およそ300年に及ぶ歩みの中でブランパンは、実に様々な形で時計製 造という芸術の境界を押し広げ、技術の粋を集めたグランドコンプリ ケーション、それまでの腕時計にはなかった複雑機構の製作、世界初 の本格的なダイバーズウォッチの開発、さらには美術工芸の復興など、多くのイノベーションを起こしてきました。その一方で、手作業による仕 上げという素晴らしい伝統も守り続けています。また、未来を見据え、地球を守る保護者としての責任を果たすことを約 束し、オーシャン コミットメントを通じて、重要な環境資源の保護に有 意義な変化をもたらしている様々な海洋保全活動を支援しています。
ダイビングへの情熱と海に対する深い愛情から生まれたフィフティ ファゾムスの初代モデルが発表されたのは、1953年でした。深い洞察 とイノベーションが盛り込まれたこの腕時計は、世界初の本格的なダ イバーズウォッチであっただけでなく、その登場以来、業界全体に対し てダイバーズウォッチというジャンルを定義づける存在となりました。 発表されるや否やダイバーの必需品となったフィフティ ファゾムスは、 主要な軍隊や科学者たちに水中の世界を解き放ちました。
当時と同じ情熱と理解をもってその進化を導くブランパンの現CEO マーク A. ハイエックもまた熱心なダイバーであり、フィフティファゾム ス コレクションの開発においては細部にまで携わり、20年以上にわ たって自ら指揮を執ってきました。
現行のフィフティ ファゾムス コレクションをさらに発展させる取り組み と同様にブランパンが力を入れているのが、多元的なオーシャン コミッ トメント プログラムに象徴される海洋保全活動です。主要な科学者、 環境保護団体、水中写真家、海洋保護会議への協賛を通じて、ブラン パンと各パートナーは海洋保護区の設立を成功させるとともに、保護活動の必要性を訴える啓蒙活動を進めてきました。