Skip to main content

Chapters

Chapter 9

フライング トゥールビヨン

ブランパンのフライング トゥールビヨン構造: メゾンを象徴するシグネチャー。

このチャプターの著者

ジェフリー・S・キングストン

このチャプターの著者

ジェフリー・S・キングストン
フライング トゥールビヨン
フライング トゥールビヨン
Issue 25 Chapter 9

トゥールビヨンは、時計製造における最も崇敬される発 明の一つであり、あらゆる時計に生じる小さな歩度誤差 を補正するものです。これらは重力と摩擦によって生じる 擾乱という形の誤差で、時計がある姿勢ではわずかに進 み、別の姿勢では遅れます。1801年、アブラアン-ルイ・ブ レゲがトゥールビヨンを発明し、特許を取得したことで画 期的な進歩がもたらされました。彼の着想に富む設計は、 時計の要となる調速機構、すなわちテンプ、ヒゲゼンマイ、 脱進機をキャリッジに収めることで、これらの小さな誤差 に対処しました。キャリッジを常に回転させることで、調速 機構は進みの姿勢と遅れの姿勢の双方を通過し、歩度誤 差は互いに相殺されます。

1989年以前の腕時計用トゥールビヨンの設計は、わずか 数えるほどしか存在しませんでしたが、いずれも上部と下 部の二つのブリッジの間にトゥールビヨンのキャリッジとそ の部品を懸架し、軸を各ブリッジに組み込んだ石受けに 挿入する構造でした。有効ではあるものの、この構造では 上部ブリッジが下で回転するトゥールビヨンの一部を覆 い、視界を妨げるという欠点がありました。ブランパンは上 部ブリッジを取り除き、トゥールビヨンを下側の受けだけで 支えることで、この構造を洗練させました。「フライング」 と呼ばれるこの設計により、回転するキャリッジ、振動する テンプ、そして脱進機が織りなす魅惑的な動きのシンフォ ニーが、ブリッジに遮られることなく全て見渡せるようにな りました。製作は格段に難しくなりますが、このブランパン のフライングデザインは、時計製造史上の初の偉業となり ました。実際、1989年の登場は三つの点で時計芸術を前 進させました。量産された腕時計用フライング・トゥールビ ヨンとして世界初を達成しただけでなく、最も薄く、トゥー ルビヨンとして最長のパワーリザーブを備えていたのです。

フライング トゥールビヨン
その動きのシンフォニーをより見渡せ るよう、トゥールビヨン アセンブリー は周囲のブリッジの高さより上に持ち 上げられています。

その動きのシンフォニーをより見渡せ るよう、トゥールビヨン アセンブリー は周囲のブリッジの高さより上に持ち 上げられています。

ブランパンのトゥールビヨンは、腕時計における世界初の フライング トゥールビヨンとしての栄誉に浴しています。

登場以来、ブランパンのフライング・トゥールビヨンはメゾ ンを象徴する存在となりました。グランド ダブル ソヌリは、 このアイコンにさらなる改良を加えています。振動数は3 Hzから4 Hzへと高められました。ヒゲゼンマイは耐磁性に 優れたシリコン製となりました。さらにこの素材は、計時性 能を高める三つの特性をもたらします。軽量であること、 形状を理想化できること、そして主ゼンマイの力が変化し ても振り角がより一定に保たれることです。複雑な動きをよ り見やすくするため、トゥールビヨンはダイヤル側のポート ホールの上にわずかに持ち上げられています。

フライング トゥールビヨン
トゥールビヨンのブリッジ。時計の 組み上げ後には完全に見えなくなる部 分にも、精緻な仕上げが施されている ことに注目したい。

トゥールビヨンのブリッジ。時計の 組み上げ後には完全に見えなくなる部 分にも、精緻な仕上げが施されている ことに注目したい。

Chapter 10

安全

誤操作や一瞬の不注意から守る。

このチャプターの著者

ジェフリー・S・キングストン
安全
このチャプターを読む

その他のナンバー

最新版をお見逃しなく

登録して、最新版を受け取る
登録して、最新版を受け取る